モバP「翠色の絨毯で」【前編】

モバP「翠色の絨毯で」【前編】

モバP「翠色の絨毯で」【前編】

1: 2013/04/27(土) 20:53:10.13 ID:hz/NP8El0
・水野翠メインのSSです。
・人生の初心者です。
・地の文有りです。
・一回の投下数は少なめです。
・色々原作と差異があれば申し訳ないです。

長丁場になるかもしれませんが、よろしくお願いします。

4: 2013/04/27(土) 21:00:04.71 ID:hz/NP8Elo
 ――コト。

 午前。営業に出る前にパソコンでメールをチェックしていた時、机においていた肘の近くに氷の入った冷茶が置かれた。

「切り替え早いですね。…もう少し余韻に浸ってもいいと思いますよ、プロデューサーさん」

 緑色が目を引く制服を来てお盆を胸に抱いた女性――千川ちひろが、パソコンの画面を覗きこんで言った。
「そうも言ってられませんよ。これで満足しているようじゃ、中小のウチは持ちませんし…何より、きっとアイツもあれがゴールだなんて思ってないはずです」

 安っぽい小さなテナントを借りて経営を行っている芸能事務所。
 俺はそこでプロデューサーとして働いていた。

「…ですね。ああ、少なくとも半年ぐらい安心できる経営計画が立たないかなあ」
 ちひろさんは苦笑する。

 事実、今この事務所ではたった一人しかアイドルが所属していない。
 そもそも、ここだって規模で言えばつい最近できたようなものだ。

「それは俺たちの腕次第ですよ」
 ありがたく冷茶を体内に注いでから言うと、ふと耳に聞き慣れた音がする。
「――あ、来ましたね」
 ちひろさんも聞いていたようで、しっかりしてるなあ、と一言漏らしていた。

 とん、とん、とん。薄いこの事務所の壁など余裕で貫通する階段を上る音。
「…でもまあ、余韻に浸るのも悪くないか」

 そのまま廊下を越えれば、すぐに事務所の扉が開く。

「おはようございます、プロデューサーさん」
「おはよう、翠」

 開いた扉の先には、昨日のライブの主役が居た。


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