比企谷「海老名さんと付き合ってみる」
といったころ。
風さえ吹かなきゃ暖かい小春日和の陽気に誘われて、ある日曜日に俺は
ちょっと遠くにある図書館へ行ってみることにした。
目的は最近興味を持った外国のSF作家の短編集がそこにしかなかったこと、
というのが発端だが、まぁ暇をもてあましてというのがもっとも大きな
理由だ。
二流のボッチは暇を嘆くが、一流のボッチは暇を上品に消費してゆくのである。あまり知らない街をゆっくりと歩いて行く俺。
やばい、ちょっと小説の一ページみたい。
で、図書館についたら目当ての本といくつかの読みたかった本をついでに
借りてぶらりと自販機コーナーで迷うことなくMAXコーヒーを購入して
顔を上げると―――。
「ひゃっはろ~、で良かったんだっけ? あ、それともヒャッハァだったかな?」
赤いフレームのめがねに指をかけて、ニコニコと俺に話しかける海老名さんが
居たのだった。