女「今の君を教えてよ」
桃色の吹雪が街を染め上げ、ほんのりとした温もりが人々を包む高校一年生の春、彼と彼女は出会った。
女「君は不思議だね」
男「初対面の人俺にいきなり君を教えてよ、とか言ってくるやつの方が不思議だけどな」
女「……」
何か言いたげな彼女を横目に男は去った。
教室につくと、初対面の人間となんとか仲良くしようと何気ない会話が飛び交っていた。
男(どいつもこいつもうるせぇな。そんな内容のかけらもない話したところで生産性皆無だろ)
背後から肩を叩かれる。
女「やあ。同じクラスだね。一年間よろしくね」
男「またお前かよ……」
女「いいじゃん話しかけたって。友達なんだし」
男「いやちげぇけど。さっき話しただけだろ。大体俺は他人と必要以上に関わる気ないから」
女「やっぱり君は不思議だね。理由を教えてよ」
男「はぁ? 電波ちゃんかよ、お前」
その日はこれ以上女が男に話しかけることはなかった。景色に橙が滲み始め、帰路についたとき後ろから声がした。
男A「女さん」
女「?」
男女二人組だ。
男A「さっき男と話してただろ? やめといたほうがいいぜ」
女「どういうことかな……?」
女A「話すと長くなるんだけど、聞いてくれる? 私たち二人ともあいつの被害者なの」