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【モバマス】小日向美穂と冬夜の温もり

【モバマス】小日向美穂と冬夜の温もり

1: ◆x8ozAX/AOWSO 2018/12/16(日) 23:36:00.57 ID:Wi4dcB/qO

2: 2018/12/16(日) 23:37:04.61 ID:Wi4dcB/qO

 12月16日。

 既に夕陽は沈んで空は黒く、辺りは夜に染まる頃。

 都内某所に存在する女子寮の入り口付近に、小日向美穂は立って居た。
 関東でも雪が降った日の夜風は余りにも寒く、ほんの数分前に部屋を抜け出したばかりなのに既に指は悴み切っていて。
 それを温める為に吹き掛けた吐息の白さが、その寒さを更に主張している。
 スマホのバッテリーも消費が早く、あっという間に半分を下回ってしまっていた。

「……まだかなぁ」

 約束の時間まで、おそらく後十分ほど。
 今か今かと、まるで恋人を待ち焦がれるかの様に空を見上げる。
 雲に隠れた月は、綺麗に半分。
 幸い雨はあがってくれたが、この雲ではまた降り出してもおかしくは無かった。

 焦りは無かった、絶対時間ピッタリに来てくれると信じていたから。
 今から出掛ければ寮の門限ギリギリとなってしまう事は分かっていたが、それでもこれからの事へのワクワクが上回り。
 一応窓の鍵は開けて出て来たから、最悪の事態は回避出来る様になっている。
 もっとも、いざとなったら他の子の部屋に窓から入れてもらうだけだけれど。

 約束の時間まで、あと一分。
 寮の前の道路が、ライトに照らされた。
 少しずつ車が近付いてくる音がする。
 その音源の接近はだんだんゆっくりとなり、そのまま入り口の前で五回ブレーキを踏んでから通り過ぎて行った。

 ……通り過ぎて行った。

「……あ、あの……っ! 此処です! 此処ですよーっ!!」


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