【アイマス×化物語】阿良々木暦「いおりレオン」
・化物語の設定は終物語(下)まで
・ネタバレ含まれます。気になる方はご注意を
・終物語(下)より約五年後、という設定です
・アイドルマスターは箱マス基準
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001
雨が、降っていた。
ざあざあと屋根を無数に叩くその無機質な音は、車の排気音や喧騒と混じり合って一種のオーケストラを奏でている。
雨は好きだ。
雨は、嫌なことや間違えたこと、過去のあやまち、そういった類のすべてを洗い流してくれる――そんな気がして。
「なあ、水瀬――例えばの話なんだけど、さ」
僕は水瀬に語り聞かせる、と言うよりは誰にでもなく語り出す。水瀬が聞いているかどうかはどうでもいい。
時刻は夜の七時。
外はもう夜闇に包まれており、暗い事務所の一室で、僕は水瀬伊織と机を挟んで向かい合っていた。
この時間帯に窓のブラインドを閉めないでおくと、事務所のすぐ側にある信号機が変わる度に事務所に光が差し込む。
それは赤だったり黄色だったり時には青く点滅したりして、僕はそのサイケデリックな人工的な光のアートを気に入っていた。
一人で残業する時はわざとブラインドを開けっ放しにしたりする位だ。
「あくまで例えばだよ、水瀬が今にも飢えて氏にそうだって時に、目の前に食べていい、と食事を出されたとしよう」
水瀬伊織、十五歳。
日本では有数の財閥である水瀬財閥の娘でありながらアイドルを営む少女。
性格は誇り高く不遜。
そんな気質と矜恃に見合う実力を持った気高いアイドル。
他のアイドル達や秋月に音無さんも帰宅し、今はアイドルの仕事を終え帰ってきた水瀬と僕だけ、という状況だ。
その水瀬は僕に何を言うでもなく、無表情のままに俯いている。