憂「明日、お姉ちゃんの誕生日だよ」 梓「あっ!?」
放課後の教室に、
中野梓ことあずにゃん。
いやっ、梓の声が響いた。
「いや、梓……アンタ」
「ふふっ、まぁ。特別なことは必要ないと思うよ」
友人二人に軽く笑われつつ、
梓は深く溜息をついた。
(特別なことは必要ない、かぁ)
部活の先輩の妹である平沢憂がそうは言うものの、
何もしないなんてことは駄目だろう。
実は、明日は憂の姉の平沢唯の誕生日。
すっかり忘れていた梓は、
憂に言われ、ようやく思い出した。
「特別じゃないけど、
何か贈り物とか……でも。なぁ」
梓は一人、自室で溜息をつき、
お世話になってないからいいや。
なんて邪念を払い除けつつ、
財布の中身を取り出してみる。