【シャニマス】冬優子「それは」灯織「あったかもしれない邂逅」

【シャニマス】冬優子「それは」灯織「あったかもしれない邂逅」

【シャニマス】冬優子「それは」灯織「あったかもしれない邂逅」

1: ◆/rHuADhITI 2019/04/07(日) 17:30:02.34 ID:khuu0cd90
注意
新アイドル黛冬優子と、風野灯織のtrue微ネタバレがあります
特に黛冬優子ストーリーを、少なくともシーズン3までプロデュースをされてから読むことを、強く推奨致します

2: 2019/04/07(日) 17:36:18.98 ID:khuu0cd90
 冬の終わりの冷たい雨の中、私は彼女に出会った。

 黒い髪からポタポタと雨をしたたらせながら、彼女は坂道を上っていく。傘はさしていなかった。それでいて急ぐ様子もない。濡れることなど意に介さぬかのように、彼女はゆっくりと歩を進めていた。

 私は思わず息をのんだ。水中を悠然と歩く彼女のうしろ姿が、私に雨を忘れさせる。彼女はまるで、世の憂いを断ち切らんとする聖者のようで、神々しい何かのように見えた。

 一枚の西洋絵画を見上げているかのような、そんな錯覚に私は陥っていた。そのくらいに彼女は綺麗だったのだ。

 でも、それも一瞬のこと。吐く息の白さが私を現実に引き戻す。寒さに思考が緩慢になっていくのを感じながら、私は歩をとめて、漫然と頭上の雨と彼女を眺めていた。

 時刻は午後の二時半。真昼間だというのに、辺りはうすぼんやりとしている。分厚い雲のせいか、とにかく光に乏しかった。

 ……強い人、なのかな。

 見上げて、思う。

 雨はひどく冷たい。凍えるほどだ。傘なしでは、私には耐えられそうにない。だからそう思ったのだ。彼女は雨に負けぬほどに強い人間なのだろうと。


続きを読む

続きを見る

SSカテゴリの最新記事