【モバマス】十時愛梨「炬燵へ潜ってぎゅうっとちゅうっと」
「ん……何、どうしたの……?」
「いえ、えっと、用みたいなことは特に何もないんですけど……その、ちゃんと居てくれてるかなーって思って」
「居てくれてるか、って……こんなに近くで、こんなにくっついて、こんなに抱き締めあってるのに?」
「こんなにしてるのに、です。……目の前には、もうそれしか見えないくらいプロデューサーさんの顔が見えて。濡れた吐息の焼けそうな熱さまで感じられるくらいくっついてて。固さも柔らかさも何もかも、心地よく伝わってくる心臓の音まで分かるくらい抱き締めあってて。……でも、それでもです。だって……」
「だって?」
「……だって、こんなの幸せ過ぎます。一日の間をずっとずうっと、プロデューサーさんと一緒にいられるなんて。こんなに近くで、寄り添って、二人で明日までを迎えられるなんて。幸せで……幸せすぎて、まるで、夢みたいで」
「夢。……不安になっちゃったんだ」
「はい。……こんな本当の夢みたいに幸せな時間、本当は、本当に夢なんじゃないかって。私、不安で」
「そっかぁ。――それは、僕に解決してあげられる?」
「もらえます。きっと、プロデューサーさんにしか解いてもらえません」
「どうすればいい?」
「簡単です。ちょっと触れてくれれば、それで……」
「触れれば?」
「はい」
「でもそれ、今日こうして一緒になってから何度も――というか、ついさっきだってしたような気がするんだけど」
「……足りなくなっちゃったんです。さっき不安を消してくれたあれじゃ、もう、今の不安には足りないんです」