【シャニマス】三峰結華「即興劇『カップルごっこ』」
雨、それは天の恵み。
な訳あるか、都会に勤める身としては迷惑以外の何物でもない。
かつての若かりし頃の自分は雨が降れば傘も持たずに駆け回った訳だが、もちろんそれは昔の話。
おニューの長靴をおろす喜びやクラスの女子のブラウスが透ける喜びも、今となっては懐かしいものだ。
窓を叩きつけ続ける雨は段々と勢いを増し、湿気と不満を増加させる。
折り畳みは持ち歩いているが、この雨では駅に着く頃には下半身濡れ鼠になってしまうだろう。
洗濯物だって乾かないだろうし、何より寒い。
特別な思い入れがあるとは言え、それでもやはり迷惑なモノは迷惑だった。
「でも、雨って良いよね」
雨が弱まるのを共に事務所で待っている担当アイドル三峰結華が、隣で困ったように笑っていた。
「新しい傘でも買ったのか?」
「ほら、よく言うじゃん? 恋人といる時の雨って特別な感じがする、って」
「雪じゃなかったかそれ」