【ミリマス】待ちぼうけのバースデー【中谷育】

【ミリマス】待ちぼうけのバースデー【中谷育】

【ミリマス】待ちぼうけのバースデー【中谷育】

1: 2021/12/16(木) 19:00:14.98

2: 2021/12/16(木) 19:03:44.46
夏は涼しさを運んでくれる潮風も、12月も半ばになるとさすがに寒く感じる。

「寒くないか、育?」

「もう、ちゃんとあつぎしてるから大丈夫だよ。子供あつかいしないで!」

駅からテレビ局へ向かう道すがら、モコモコなマフラーに顔を包まれる少女、中谷育は唇を尖らせて不満を露わにする。

「ごめんごめん。さすが、育だな」

「うん♪おかあさんに、かぜをひかないようにちゃんと着込みなさい、っていつも言われてるの!」

そう言いながら、育は年相応に可愛らしい笑顔を見せる。
今日はこの子の誕生日。
夕方からのバースデーライブに向けて、午後はリハーサルで忙しくなる予定だ。
そんな忙しない一日だが、午前中はごく短いテレビ番組の収録のみ。
今の内に、ちょっとでも誕生日を堪能する時間が取れればいいんだが。

「今日はずっとプロデューサーさんがついてきてくれるの?」

「うん。収録が終わったら時間があるし、どこかに出かけようか。不肖ながらエスコートさせてもらうよ」

「えすこーと・・・って大人の女の人がされる、あれ?」

「うん、それ」

「そっかぁ・・・♪」

マフラーに顔を埋めながら目を輝かせる育に、自然と頬が綻んでしまう。
今日は、出来る限り傍にいてやらないとな。

「おはようございます、765プロですー」

育と並んでいつもの関係者通用口を通ると、暖房がもたらす温もりが俺達を出迎えてくれた。

「えっと、今日のスタジオは確か・・・」

「3階だったよね?」

「うん、そうそう。さすが、よく覚えてたな」

「でしょ?えへへ♪」

そんなやりとりをしながらスタジオへ向かっていると、局の関係者向けエントランスに一人の少女が立っているのが目についた。
歳は育と同じくらいだろうか。
腰まで伸びた黒髪がとても綺麗な子だ。
上へと続く階段を無表情でジッと見つめる姿が妙に気になったが、収録に遅刻するわけにもいかなかったので、ここは先を急ぐことにした。


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