【モバマス】プッ、プゥブゥッ、ブリリッ、ブプッ。
今後の活動に関して、私達は話し合っていた。
黒いソファーに、ガラス製のテーブルの上に載せられた資料。
正面に座る彼女は、真剣にそれを覗き込んでいた。
そして、ふと、会話が途切れた瞬間、先の音が聞こえたのだ。
私は、プロデューサーと言えどもアイドルに幻想は抱かない。
彼女達の存在は現実であり、当然、放屁もする。
そこに人間としての違いなどあるはずもなく、仕方の無い事なのだ。
プロデューサーとして、いや、一人の大人として今取るべき態度。
注意をする、というのも正しい選択だろうが、私はそれを選ばない。
何故ならば、相手はまだ年端もいかない少女であり、
私の様な男にそれを指摘されるのは非常に気恥ずかしいものであるだろうからだ。
故に、私がとるべき行動は一つ。
何もなかった事にする、これだ。
咳払い一つせず、さも聞こえなかったかのように自然に振る舞うのがベスト。
プッ、プゥブゥッ、ブリリッ、ブプッ。
私の予定は、儚くも崩れ去った。
響き渡る音と、異臭と共に。