モバP「翠色の絨毯で」【中編】
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夏休みが空けると、翠のスケジュールは更に多忙になる。
以前に比べ増え始めた仕事に加え、多大な時間を割くレッスン、そして二学期を迎える学校だ。
ちなみに夏休みの間に弓道のインターハイが開催され、翠率いる弓道部は残念ながら優勝旗を持ち帰ることはできなかったものの、準決勝まではコマを進めることが出来たのだった。
俺は両親と共に観戦に行き、終わった後は涙を見せることもなく、後悔なく、憂いなく、やりきった顔で部活の打ち上げに向かっていったのが印象に残っている。
その光景もテレビ放送され、多くはないが観客席にファンが訪れたのは余談である。
そして今。
俺とゆかりのプロデューサーは、もうかれこれ何十回目となるレッスンを普段通り見ていた。