【モバマス】武内P「変身っ!」
LIVEが終わってステージ裏に戻ると、真っ先にプロデューサーが声をかけてきた。
まだ会場は興奮冷めやらぬようで、ざわめきがこちらまで届いてくる。
「どうだった?」
こうやってプロデューサーに感想を聞くのは、いつものこと。
だけど、この人はいつも決まってこう言う。
「はい。とても素晴らしい、良いLIVEでした」
「……ん」
今回のLIVEは、私だけのソロLIVE。
少し緊張したけど、プロデューサーが見ていてくれたから、不安は無かった。
だって、私が見ていてって言ったのに、かっこ悪い所は見せられないし、ね。
「きゃあああああっ!?」
「うわあああああっ!? なんだ、このバケモノは!?」
そんな私達の耳に、明らかに、普通とは思えない叫び声が飛び込んできた。
何か、あったのかな?
それに、バケモノって……一体、何のこと?
「――渋谷さん。すぐに、避難を」
プロデューサーは、真っすぐにステージに向かいながら、背中越しに言った。
その歩みには一切の淀みが無く、まるで、何かを察しているかのよう。
「避難って……アンタ、どこへ行く気!?」
避難するなら、そっちじゃないでしょ!?
「私は……プロデューサーですから」
何それ……全然答えになってない!